自力で銘柄を見つけたい個人投資家の必読書 ピーター・リンチの株で勝つ
著者:ピーター・リンチ
出版社: ダイヤモンド社; 新版 (2001/3/1)
こんな人、こんなシーンにおすすめ
- 投資したい銘柄がなかなか見つからない初心者の人
- マネー誌や投資家のTwitterで紹介される銘柄が気になってしまう人
身近にある有望企業を自分で調べて投資せよ
本書の主張は明快です。「有望銘柄は、身近なショッピングセンターや職場で発見できる」「専門家の推奨を無視し、個人投資家は自分の調査に基づいて投資すべき」というものです。
現に著者も、旅先で食べておいしかったチェーン店や、奥さんの評判が上々だった会社など意外なきっかけの方が上手くいったそうです。
なお目から鱗だったのは「利口な人々の参入を招く急成長産業を避けよ。競争の心配がない低成長産業が狙い目」というアドバイスでした。
本書がヒントになり、ニトリやエン・ジャパンへの投資で大成功
私が投資家として駆け出しだった1990年代半ば、何度も読み返し、内容を暗記してしまうほど夢中になった本です。
本書から得た学びで、ニトリやエン・ジャパン、ラウンドワンなどへの投資で多大な成果をあげることができました。自慢話のようで恐縮ですが、成功体験の事例として紹介させていただきます。
ニトリに注目したのは、同社が北海道でのドミナント展開を終えて、本州に南下を始めた時期です。家具のチェーン店という低成長産業ゆえに、進出先で競合の心配がなく、一人勝ちが目に見えていました。ニトリは未だにライバル企業が不在で、快進撃を続けています。
転職サイトを手がけているエン・ジャパンは、同じ職場の人事担当者がその存在を私に教えてくれました。当時はインターネットに明るい人間が少なかったこともあり、彼は私の配属先である情報システム部門まで「リクルートより断然いいんだ」とわざわざ伝えにやって来たのです。同社株は、買ってから半年で2倍になりました。
ラウンドワンを知ったのは、職場にて押し付けに近い形でボウリング大会の幹事をやらされたときです。大阪市内のボウリング場をしらみつぶしに調べたところ、設備が古く、場所も便利とは言いがたいところばかりが見つかりました。そんな中、立地の良い新しいボウリング場を展開していたのは同社のみでした。幹事としてはタダ働きでしたが、ラウンドワンへの投資で十分にお釣りが出たと思っています。
まだ日経新聞やマネー雑誌頼みの初心者だった私が、自分で銘柄を選べる投資家にステップアップできる大きなヒントを与えてくれた一冊が「ピーター・リンチの株で勝つ」です。
書籍の評者
角山 智
ファイナンシャルアカデミー認定講師
1963年生まれ、奈良県出身。立命館大学経営学部卒業。建築資材メーカー(東証1部上場)の情報システム部門、経営企画部門に17年間勤務。2005年角山オフィス設立。個人投資家向け書籍執筆や講演、情報発信を行う。
〉〉 この講師が講義する株式投資スクールはこちら