あなたが嫌われるのはあなたのせいではない? 嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

著者:岸見一郎
出版社:ダイヤモンド社 (2013/12/13)

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こんな人、こんなシーンにおすすめ

  • 人間関係に疲れた人
  • いつも八方美人になり損をしてしまう人
  • 仕事でもう1つ殻を破りたい人

自分がどうありたいかを考え「自分の課題」に集中する

基本的には「他人の人生を生きるのではなく、自分の人生に集中しよう」という内容で、ポイントは自分が相対している課題を「自分の課題」「他人の課題」に切り分けることからスタートします。

私たちが抱えている悩みはすべて「人間関係」から派生するものであり、その人間関係の悩みも基本は相手があるものであり、私たちのコントロールの範疇からは出ているのです。私たちは「自分がどうあるか、どうありたいか」に集中するべきであり、他人がどう感じるかを考える必要はない。つまりSNSなどでよくみられる「マウンティング」のような承認欲求も捨ててしまえばよいということです。

また、「トラウマ」や「過去の経験」などを持ちだして行動しない人というのは、説明している「原因」と「結果」が実は逆であり、本当は「行動したくない」からこそ、過去から色々なもっともらしい理由を持ち出しているのです。 もっと深く「自分は本当はどうありたいのか」をよく考えるべきであり、そうしないと一生「他人の人生」を生きてしまう、と警鐘を鳴らす一冊です。

人生で集中するべきことは何なのか、を再考させてくれる

自営業の友達から「自営業するならアドラー心理学は絶対に読んだほうがいい」と言われていたものの、難しそうでなかなか手が出せませんでした。ですが、対話形式の解説本として本書が出版されたと聞き、ようやくその概要を知ることができました。
私も自営で仕事をしていると顧客中心に人間関係で悩むことが多いのですが、本書を読むと少しだけその悩みが緩和されました。
基本的に私たちは「自分がどうしたいか、どう生きたいか」に集中するべきであり、それは友人関係、仕事関係、加えて家族に対してであっても当てはまると思います。その上で、それらの人がどう思うかはもう私たちのコントロールできる領域を超えているので、もはやあれこれ考えても仕方がないのです。
またこれは私の持論ですが、何か人間関係のトラブルを抱えて悩むことがあったとしても、結局人間関係の中でも継続して今後も付き合いが生じるのはせいぜい5%くらいなので、そんなトラブルは時間が解決してくれると言えます。95%については深く考えず、私たちは実際に生じる事象、出会う人のうち5%に集中すれば良いのです。

これは投資を始める時もそうかもしれません。
株式投資は投資の中では比較的メジャーですが、不動産投資や外貨投資の場合は、投資を始めると周りに表明した場合「怪しい」「危ない」というアドバイスをもらうことも少なくありません。
でもそういった反応も「自分の課題」ではないので、きちんと自分から切り離して考える必要があるのです。私たちは自分が正しいと判断した道を進めば良い、と確信を持つことができます。

書籍の評者



野瀬 大樹
公認会計士・税理士

大手監査法人にて、株式公開支援業務や法定監査業務などに関わった後に独立。会計や税務に関するセミナーを多数行うほか、日本企業のインド進出を支援する法人を設立し代表も務める。

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野瀬 大樹